象牙工芸館
(ぞうげこうげいかん)
象牙工芸館
(ぞうげこうげいかん)
希少なアフリカ象を密猟や密輸から守り、日本古来の文化・産業を絶やさないための取り組みも。
これが加工前の象牙です。
見学しよう
会館1階の「象牙工芸館」で、事務局長さんの解説を聞きながら、パネルや象牙製品を見たり、ビデオで学習できます。2階の会議室を使った、象牙彫刻教室も企画中です。
貴重な象牙を惜しげもなく大胆に使い、迫力と躍動感のある象牙彫刻品は、見るものを感動させます。着色をしておらず、象牙本来の色合いがその美しさをさらに際立たせています。
牡丹の彫刻作品。これ全部が象牙で出来ているのです。
硬さ、きめの細かさなど、象牙の材質としての特性を、思う存分引き出した、極細密の彫刻作品をご覧ください。
握ったら手のなかにすっぽり隠れてしまうくらい小さい野菜の彫刻の中に、さらに彫刻が!
象牙は印鑑のほか、三味線の撥(ばち)や琴柱(ことじ)にも使われ、美しく高級感ある光沢や色合い、音色を奏でることが出来ます。皇室では、日常のお食事用に、象牙の丸箸をお使いなのだそうですよ。
長く使用でき、使えば使うほど良い色合いになります。
国際的な象牙取引は規制されていますが、ワシントン条約締約国会議にて3分の2の同意を得られれば、国際間の取引ができ、その取引による収益は象の保護など限られた使い道に制限されています。1999年には南部アフリカ3カ国、2009年には南部アフリカ4カ国から輸入され、その収益は象の保護に有効利用されているのです。
公正な輸出をおこなっているのは南アフリカの4ヶ国だけ!
「種の保存法」により日本国内での象牙製品の取引は認められています。当組合や事業者、関係省庁が協力して法令を遵守した結果が国際的に認められ、1999年と2008年に国際取引が行われました。違法取引を根絶し、象が残してくれた象牙を有効利用することによって生きた象の保護をしよう!という『持続可能な利用』というワシントン条約の理念を広めていきます!とおっしゃる事務局長。
ワシントン条約のシンボルマークです。
2010年10月に、会館2階の会議室で、熱心な象牙彫刻の職人さんの提案で開催された「象牙彫刻体験教室」。あまりに好評だったので、2011年秋をめどに第2回目を企画中です。お楽しみに。
畳敷きの部屋を全面改装した会議室で、代々の理事長の業績を語る事務局長。
担い手の声
名工の技術を受け継ぎ、さらなる象牙製品の拡大へ。
石橋 保浩 いしばし やすひろ
株式会社石橋象牙店 東京都伝統工芸士
「象牙製品にはあたたかさがあります」
乳白色の輝きをもち、耐久性の高い象牙は、江戸時代より、根付、印章、装飾品、置物、邦楽器など多種多様な製品に加工されてきました。職人はそれぞれに得意とする分野があり、技術を競い合いながら発展させてきました。現在も後継者は育っており、長い年月に培われた、その卓越した江戸の伝統技術をしっかり受け継いでいます。
「父の偉大さ再確認」
そんな中、邦楽器を作れる職人の一人、石橋保浩さんは、大学卒業後、25歳の時に父に弟子入りする形で、職人の世界に入りました。「頭では、こうやればこうなると分かっているのだが、実際にやってみるとできない。親父のようにやってみると、今度はできる。やはり親父はすごいな。」と修行時代を振り返る、保浩さん。父の保(たもつ)さんは、象牙の三味線撥(ばち)の製作技術では、他の追従を許さない名工で、東京都の伝統工芸士の資格を持っています。そんな父から直接の師事を受けた保浩さんも平成23年、東京都の伝統工芸士に認定されました。
「父の技術を受け継ぎ、象牙製品のさらなる可能性を求めて」
「鋸(のこぎり)の刃を丁寧に整えないと、この仕事は始まらない」と保浩さんは、製作のための道具も自分で整えています。「象牙は、奥が深い。良い素材が入らないと作れない製品もある」と語る保浩さんは、現在、宝飾、ガラスといった別の素材と象牙を組み合わせた製品を思案中。名工の技術を受け継ぎながらも、象牙製品を多くの人に知ってもらうため、新たな挑戦に果敢に取り組んでいます。
石橋象牙店が製作する、三味線の撥は、生地のきめが細かく、象牙の光沢が均等にほどこされている一級品。特に、生地を接いでつくる、「接ぎ撥(つぎばち)」は、一見すると、接ぎ目が分からないほど、見事な技でつくられています。