東京の伝統工芸品東京の伝統工芸品 Traditional Crafts of Tokyo

大澤鼈甲株式会社
(おおさわべっこうかぶしきがいしゃ)

大澤鼈甲株式会社
(おおさわべっこうかぶしきがいしゃ)

大澤鼈甲さんの自社ブランド製品です。時代に合わせ、作り変えてこその伝統工芸。若いスタッフが刷新するべっ甲のイメージ。

大澤鼈甲さんの自社ブランド製品です。

見学しよう

モダンな店舗奥の階段を上がると、べっ甲眼鏡フレームを製造している工房が広がっています。見所は、生地の傷を整える「荒削り」、水と熱と圧力のみで生地を接着させる「張り合わせ」など、たくさんありますが、どの工程が見学できるかは、その日の製作状況によって変動しますので、とくに見たい工程がある方は、あらかじめ相談しましょう。

左右対称に色や斑を合わせるために、生地の状態を入念に観察しています。べっ甲製品は、タイマイという海亀の甲羅を原料としますが、タイマイの柄である斑(ふ)は、1匹1匹違っています。

左右対称に色や斑を合わせるために、生地の状態を入念に観察しています。

生地は、木材よりもやわらかいうえに腰があります。生地の表面を「がんぎ」や小刀で削って、傷を整える「荒削り」という作業です。

生地は、木材よりもやわらかいうえに腰があります。

左右で色と斑(ふ)を合わせます。眼鏡のレンズを入れる部分は、7つのパーツからできています。つなぎ目は、接着剤などは使わず、熱で圧着させます。

左右で色と斑(ふ)を合わせます。

べっ甲細工は別名、水と熱の芸術。熱した鉄板でべっ甲を曲げて、「テンプル」という耳に掛ける部分をつくっています。掛け心地をよくするために、細かい微調整を繰り返します。

べっ甲細工は別名、水と熱の芸術。

伝統的技術と最新技術のコラボレーション。このコンピューター制御の切削マシンを導入したことにより、シート状の薄いべっ甲をつくることが可能になり、斬新なデザインの眼鏡フレームもできるようになったそうです。

伝統的技術と最新技術のコラボレーション。

視力を測る機器も完備しています。1階の店舗です。高級ブティックのような店内ですが、べっ甲細工のアクセサリーや置物も、取扱っています。アクセサリーのデザインは、奥様の手によるもの。

視力を測る機器も完備しています。

担い手の声

看板亀!?の「亀吉」くん。気持ちよさそうに泳いでいます。べっ甲眼鏡の可能性を拡げる、こだわりの「モノ」づくり

大澤 健吾 おおさわ けんご
大澤鼈甲株式会社 代表取締役社長

「自分だけの一品を求めて、遠くから足を運ぶほど、男性は「モノ」に対するこだわりが強い」と語るのは、眼鏡業界のトレンドを取り入れたべっ甲眼鏡フレームを提案し続ける大澤健吾さん。眼鏡業界から高い評価を受けた、「KUAI」シリーズは、べっ甲を薄いシート状にしたものを眼鏡枠に採用するといったアイデアにより、スタイリッシュなフォルムを生み出し、他人と同じ「モノ」では満足しない男性からの圧倒的な支持を得ています。また、べっ甲に赤・緑・青などのカラーコートをほどこしたシリーズは、特に女性からの支持が高く、べっ甲眼鏡の可能性を拡げています。「べっ甲眼鏡というと、年配の方が好んで掛けるイメージだと思いますが、若い方にも気軽にべっ甲眼鏡を楽しんでほしい」と大澤さん。 国内外のさまざまなブランドやデザイナーとのコラボレーションにも積極的に挑戦し続ける大澤さんは、伝統的な技術を守りながらも、現代のトレンドに合わせた「モノ」づくりを信念に、日々べっ甲と格闘しています。

看板亀!?の「亀吉」くん。気持ちよさそうに泳いでいます。