多摩織
たまおり
- 幾何学模様に、人の手が心地よいノイズを加える。
- 東京都の南西部に位置する八王子は、かつて桑の都と呼ばれ、養蚕と製糸、織物業の一大産地として栄えた。多摩織は、その八王子織物をルーツとする五つの織物の総称であり、絹織物の多品種産地が育んできた多様な技法の集大成と称される。時代ごとにモードの先端を担った色や柄を今も受け継いでいる。染色した千二百本の生糸をずらして柄を織る「ずらし絣」は、幾何学的な絣柄に計算された変化を与える高度な技法である。ひと織りごとに両手両足を用いて織機を操作し、織り具合を微調整することで、手仕事ならではの自然な風合いがもたらされる。紡ぎ糸の素朴な手触りを持ち、シンプルな柄や色によって東京の“粋”を体現。普段使いで着続けても飽きのこない普遍的な魅力を備える。全工程を手作業で行っているため、反物は希少にして高価だが、多くの人に多摩織の持つ手触りや柄を楽しんでほしいとの想いから、ネクタイや帽子、ストールなどの制作も行っている。
主な製造地 | 八王子市 |
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指定年月日 | 昭和57年12月24日 昭和55年3月3日(国) |
伝統的に使用されてきた原材料 | 生糸、玉糸又は真綿のつむぎ糸 |
伝統的な技術・技法
- お召織(めしおり)及び紬織(つむぎおり)は、先染め又は先練りの平織り、綾織り若しくは朱子織り(しゅすおり)又はこれらの変化織りとする。
- 風通織(ふうつうおり)は、ジャガード機又はドビー機を用いる先染め又は先練りの二重織とする。
- 変り綴(つづれ)は、先染めの平織り又は平織りの変化織りとする。
- 綟り織り(もじりおり)は、ジャガード機を用いる先染め又は先練りの搦(から)み織りとする。
沿革と特徴
かいこ(蚕)飼ふ桑の都の青嵐市のかりやにさわぐ諸びとこれは、天正年間(1573-92年)における八王子城下の市場の賑わいを歌ったものである。
桑の都と呼ばれた八王子は、古くから養蚕と織物業が盛んで、この地では様々な織物が織られ続けてきた。
今日、多摩織とは、御召織(おめしおり)、風通織(ふうつうおり)、紬織(つむぎおり)、もじり織、変り綴の五つの織物の総称ですが、これらは八王子織物の長い歴史の集大成であるといえる。
京都の加茂川、桐生、足利の渡良瀬川に例をとるまでもなく、清流のほとりには優れた機織りの産地が発展している。
多摩織のふるさと、八王子も例外ではなく、武州・相州・甲州の国境に源を発する秋川浅川の流れに囲まれこの流れとともに織物の歴史を刻んできた。
かつて八王子の市は、毎月4の日と8の日に開かれた。八王子の横山や八日市で開かれた市場が八王子織物を主要商品としてこの地域における商業圏に重要な役割を果たすようになるのは徳川家の関東移封後と考えられる。
八王子は武州と甲州の境に位置するために軍事上の枢要な地として関東総代官所及び千人同心が置かれ江戸西域の防衛にあたった。
このことが八王子の地位を高めることになった。
多摩織の生産工程の特色は、分業にあります。織物業、意匠紋紙業、糸染業、糊付業、整経業、絣加工業、捺染加工業、撚糸業、機拵業、整理加工業といった工程ごとに分化し専門化した職人が多摩織独特の渋い味わいを作り出している。
連絡先
産地組合名 | 八王子織物工業組合 |
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所在地 | 〒192-0053 八王子市八幡町11-2 |
電話番号 | 042-624-8800 |